
夏の夜。にぎやかな縁日────
人混みをかき分けて歩くだけで、不思議と心がほぐれる。
縁日って、やっぱり「ご縁の日」。
金魚すくいの屋台を発見!
「彼女にかっこいいところ見せるチャンス到来!」「わぁーっ、すごい!」とすでに脳内妄想モード。
だが、むなしくも、身をのり出した瞬間に、ポイが破れる。
「もう〜、下手すぎ!」と笑う声に、苦笑いしかない。
まいっか。金魚はすくえなかったけど、
その夜の笑顔と、この「ご縁」だけは、ちゃんとすくえたから。
夜空に打ち上がる大輪の花火。
光に浮かぶ横顔は、花火よりもまぶしい。
その一瞬のまぶしさが、夏の夜を永遠にしてくれる。
夏の夜は一瞬で過ぎるけれど、その一瞬が宝物になる。ご縁の日とは、そういうことなのだ。
