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『銀牙−流れ星銀−』熊犬リキ最期の闘い──寿沢の谷へ消えた魂

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『銀牙−流れ星銀−』熊犬リキ最期の闘い──寿沢の谷へ消えた魂



赤カブト 熊犬リキ 幼い銀

夜の雪原に轟く咆哮は、
吹き荒ぶ風すらかき消すほどだった。
その中心にいたのは——
巨大にして異様な存在、赤カブト

極限状態のじっ様とリキの動きを嘲笑うように、
赤カブトは雪煙の奥から姿を現した。

包帯の下には、深い傷。
それでもリキは、雪に沈んだ前脚へ力を込め、
主人を守るため、静かに立ち上がった。



その頃、麓の村では、
じっ様とリキが遭難したとみて、
村人たちが捜索に出かける頃だった。

捜索隊には、銀の母親である富士に、
生後わずかの銀。
そして銀の飼い主である少年・大輔。

はやる気持ちを抑えきれず、
大輔と銀は、捜索隊とは別行動で、
スノーモービルで捜索に向かった。

雪原を駆け抜けた大輔が目にしたのは、
荒ぶる雪の中で闘うリキの姿だった。

リキが・・・リキが生きていた! みろ銀 あれがおまえの父親だ!!


大輔は、リキの援護射撃を試みる。
銀を懐に入れたまま、
スノーモービルごと、赤カブトに体当りした。

衝撃で、スノーモービルが横転する——
大輔は、じっ様に助けられたものの、
銀は雪の上に放り出されてしまったのだ。

赤カブトは、その瞬間を逃さず狙った。
その“迷いのなさ”が恐怖を倍増させた。

銀はまだ生後わずか数週間、戦いの意味も分からず、
ただ震えながら父の背中を見ていた。

リキは、我が子とも知らず、
銀から赤カブトを引き離そうとしていた。

熊犬にとって絶対なる力は気力を意味し! 絶対なる力は生命力に結びつく!!

だが、深手を負っている上に
飲まず食わずで蓄積された疲労は体力のみならず、
その気力さえも奪った。

身体が・・・動かない!!

熊犬の生命力というべき気力が
リキにはもう残っていなかった。

大輔は、リキに向かって叫ぶ。

リキ! はやく! はやくぅ!!

リキは、
雪の上に倒れ込む銀を咥えると、
残っていた力をただ一つの方向へ使った。
銀を大輔の元に放り投げるために。

リキの最期の力が届いた刹那。
巨大な爪牙が雪煙を裂く。

次の瞬間。
赤カブトの巨大な熊爪が、闇を割って振り下ろされた。

ギャワーン・・・・!!

もはや、避けるだけの力は残されていなかった。
銀を守るために背を向けた
そのままの姿勢で斜面へ弾き飛ばされる。

視界が反転した。
四肢が、宙で泳ぐ。

絶叫をともない、
真っ赤にそまったリキの体は、
寿沢の底に消えていった。

谷底は見えない。
ただ、落下の軌跡だけが、細い線となって残った。
その線の先に、銀を守れたという、わずかな確かさだけを残して。

銀はただ、
父の姿が暗闇に溶けていくその一瞬を——
目を見開いて見ていた。

父が闇に溶ける姿。
その背に宿っていた誇り。
そのすべてを胸の奥に焼きつけるように。

のちの銀を形づくる“核”のひとつが、
この一瞬に芽生えていた。



🔗 次回予告

リキ亡きあと、銀は、
じっ様のもとで熊犬として鍛えられていく。

雪山を駆け、獲物の匂いを追い、
じっ様の号令に合わせて動くうちに、
あの夜に胸の奥に芽生えた“核”は、
すこしずつ形を持ちはじめる。

やがて銀は、
ひとりの猟犬であることを越え、
奥羽へ向かう旅路へと踏み出していく。

次回は、
リキを失ったあとの世界で、
銀がどのように“主人公”として前に出ていくのか。
じっ様のもとを旅立ち、奥羽軍へとつながっていく、
その最初の一歩をたどっていく。




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引用・参考文献:銀牙–流れ星銀–第1巻(ジャンプコミックス)

銀牙–流れ星銀– 第1巻 書影



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藤次郎Tojiro

Tojiro

子どもの頃、家でジャンプが出禁になっても、『銀牙』や藤子作品だけは読み続けていた。その頃の“物語の匂い”が、ぼくの根っこをつくっている。うつとの長い旅を経て、“こころの余白”の大切さを知り、いまはドラマ『相棒』の奥にある気持ちの揺らぎや、痛みのレイヤーをそっと読み解いている。原点の作品を行き来しながら、人が立ち上がっていく物語を、静かに追いかけています。

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