広告 相棒×杉下右京

相棒ラボ|相棒を、読む。第3話「警察官B」後篇──新世代の誕生を見届けて。少年Aの「今ここ」からはじまる物語

2025年11月4日

  1. HOME >
  2. 相棒×杉下右京 >

相棒ラボ|相棒を、読む。第3話「警察官B」後篇──新世代の誕生を見届けて。少年Aの「今ここ」からはじまる物語

2025年11月4日

秋の読書

『相棒season24』第3話「警察官B」は、
あらゆる意味で、“次の世代”を予感させるエピソードだった。

何より印象に残ったのは、
出会ったふたりの“はじめ”。
高田創(たかだ・はじめ) × 鶴来一(かぐらい・はじめ)
という新たなバディの誕生──

それは、右京と薫がそうであったように──
かつてと未来をつなぐ、“次の相棒”のプロローグだった。
25周年のセルフオマージュを通して、
視聴者に静かに問いかけてくるような物語だった。

プロローグ:名前を与えられた少年──創という存在の始まり

相棒 少年A 高田創


今回、登場した高田創は、ただの若手刑事ではない。

彼は“特命係が育てた少年”──
その成長の軌跡を、
シリーズのなかでずっと描かれてきた特別な存在
だ。

はじめて高田創が登場したのは、
相棒season16 第19話「少年A」──

無戸籍のまま母に育児放棄され、
幼い弟とふたりで
社会の片隅で必死に生き延びていた。

警察の手が差し伸べられたとき、
名前さえはっきりしていなかった創。

そんな彼に、初めて
「高田創」という“法的に認められた名前”が与えられた。

その支援をしたのは、
元法務省官僚の冠城亘だった。
彼は、就籍届に関わっていたことがあるのだ。

あのとき、
特命係は、創の存在を“見落とさなかった”。

段ボールの中に横たわっていたのは、
冷たくなった妹だった──。

幼い弟をかばいながら、
ひとりで命の炎を抱えていた少年。

名前を持たず、
国にも家族にも存在を認められていなかった彼に、
「君は、ここにいていい」そう語りかけたのは、
たしかに、特命係のふたりだった。


高田創の原点を描いた回については、こちらの記事もどうぞ:
👉 【前篇】相棒season24 第3話『警察官B』─絶望と悲しみと孤独の深淵から這い上がる少年の原点とは

雪の降る公園
相棒ラボ|相棒を、読む。『警察官B』前篇─絶望と悲しみと孤独の深淵から這い上がる少年の原点とは。

続きを見る


「警察官B」に再登場──新たな名を背負った彼の姿


そして、約7年の歳月が経った。
無戸籍だったあの少年が、今──
警察官になっていた。

それも、地域課の交番勤務を経て、
ついに念願の刑事課配属となったのだ。

「刑事になる」──
それは、彼にとってただの職業選択ではない。

かつて、自分が
“少年A”として追い詰められたとき、
そばにいたのは、警察官だった。

杉下右京と冠城亘。
ふたりの“刑事”がいたからこそ、
彼は名前を持ち、生きる場所を得た。

そして今、彼はその“刑事”として、
同じ場所に立とうとしている。
過去の自分と同じように、名もなき人を守るために──
「高田創」という名前を背負って。

この第3話では、
杉下右京と亀山薫が、
彼を導こうとする姿が描かれている。

かつて少年だった彼が、大人になり──

“警察官としての責任”
“個人としての想い”のあいだで揺れながら、
懸命に「生きている」のだということを、
このエピソードは静かに、
けれど確かに伝えてくる。

物語冒頭、創が特命係の部屋を訪れたシーンでの一言──
「相棒が見つからなくて」このセリフは、
**誰と心を通わせながら仕事をしていくか**
に、迷っていた証だ。

右京と薫は、彼の悩みに“いつもの調子”で応じる。

薫「こんな変わった人、そうそういるはずねえんだから」
右京「いないと思いますよ、こんな変な人」
ふたり「(ニコッ)……いい意味で」

笑いを交えたこのやりとりの奥に、
創が“心のどこかで求めていた相棒”のかたちが
見えてくる。

人は過去の苦しさを超えて、
“誰かの希望”になれるんだ
というこのドラマの静かなメッセージに、こころが震えた。


右京&薫 vs 創&鶴来──“相棒”はバトンのように


相棒

今回、高田創の“相棒候補”として登場したのが、
警視庁総務部の鶴来一(かぐらい・はじめ)

読書好きで我が道を行くスタイル、
妙な知識に詳しくて、感情より観察眼が勝る──
まるで、若かりし頃の杉下右京
見ているようだった。

そんな“変わり者”なふたりが、
終盤の人質事件で見せた
完璧な連携──

打ち合わせもゼロ、
咄嗟の判断で命がけの制圧に飛び込んだ。

創「僕たちは、お互いの危険より、市民の安全を優先しただけです」
右京「目的を共にすることで、自然と息が合った、ということですね」

この会話の静けさが、むしろ熱い。
右京×薫が“築いてきたもの”を、
創×鶴来が“自然に受け継ぎ始めている”

それが、今回の物語の
いちばんの核心だったのかもしれない。

さらに、事件解決後の夜──
お猪口を交わしながら、右京と薫が語る。

薫「アイツらなら、いい相棒になるんじゃないですか?ねえ 右京さん」
右京「そうですね。なれると思いますよ」

この“静かな乾杯”にこそ、
『相棒』というドラマの“継承”があった

視聴者に見せたのはただの事件解決ではなく、
新たな時代の“バディの夜明け”だった──

そう感じた人も、
きっと多かったんじゃないだろうか。


25周年に贈るセルフオマージュ──“踵”が語る継承


終盤、創が郷田に人質に取られる。
そこに現れるのは、
創の“相棒候補”である鶴来

彼は郷田に同調するふりをして、
創を巻き込んだかのように振る舞う──。

しかし、これは完全なる作戦だった。
鶴来の合図に、創が一瞬で応じる。
踵で足の甲を踏みつけ、
包丁を落とさせる──

この一連の流れに、
見覚えがあるファンも多かったはず。
そう、これは『pre season1』で
右京の指示に従い、
薫が踵で犯人を制圧した原点のシーンと“まったく同じ”演出だった。

あの「相棒はじまりの物語」が、25年を経て、
今度は“高田創と鶴来一”で再演された──
これは偶然じゃない。

“はじまりの構図”を、
今ふたたび描くことによって、
“新たな物語が始まった”ことを明言した演出
だと思う。

さらに注目すべきは、今回のタイトル──
**「警察官B」**という不思議なネーミング。
「A」が創なら、「B」は誰なのか──
見終えたあとに、ふと思い至る。

鶴来こそが、創にとっての『相棒』だったんだ”

それに気づいたとき、
タイトルそのものが、
ふたりの未来を祝う暗号だったようにさえ感じる。


相棒の継承は、静かに──けれど、確かに始まった。


新世代は、もう始まっている。
右京と薫がそうであったように──
鶴来と創の“相棒の旅”が、
静かに動き出した夜だった。

今回の物語は、
事件解決やミステリーだけじゃない。
**「25周年の節目に、“次の25年”への種を蒔いた回」**
だったと思う。

最初の一歩を踏み出した創。
そこに寄り添う鶴来。
彼らの間に生まれた“相棒のリズム”が、
この先どう育っていくのか──

このシリーズを見守ってきた“ぼくら”だからこそ、
きっとこの物語に、
ひとしおの感慨を覚えたんじゃないだろうか。


あとがき──「少年A」とわたし


今回、前後篇のブログを執筆するに当たって、
相棒Season16「少年A」を視聴すること3度。

それは単なる視聴ではなく、
自分の内面と対話するための
“授業”だったように思える。

「少年A」こと高田創に自分の姿を投影していた。

種類は違えど、
彼の境遇に近いものが、
ぼくにもあったからだ。

右京と冠城の言葉に、
自分の感情が映り込むたび、
ぼくは物語の奥にある“人間の真実”を、
そっと拾い上げていった。

あれはドラマの中の話──そう割り切れない自分がいる。
心の奥に残された“名もなき傷”が、
画面の向こうから呼応してきた。

だからこそ、何度も見返したくなった。
だからこそ、ブログという形で、
書き留めておきたかったのだ。

この物語は、たしかに高田創の物語だった。
けれど、同時に、ぼく自身の物語でもあった。

痛みを抱えながら、
それでもなお、誰かを信じたいと願う──
そんな“今ココ”から始まる、
ひとつの再生の物語。


関連するエピソードとして、こちらも紹介しておきたい。
👉️優しさ”というズレ:毒母の言葉と、ぼくの皆勤賞

夕陽が差し込む学校の廊下。遠くの窓から暖かな光が射し、床に長い影がのびている
“優しさ”というズレ:毒母の言葉と、ぼくの皆勤賞

続きを見る





📀 相棒 season16 DVD-BOX II

加藤清史郎さん演じる「高田創」初登場エピソード『少年A』収録!

📀 相棒 season23 DVD-BOX Ⅰ

少年Aと呼ばれていた高田創が警察官になったエピソード
『警察官A~要人暗殺の罠!姿なき首謀者』収録!

📀 相棒 pre season DVD-BOX

今回のエピソードのオマージュとなった
「刑事が警官を殺した?赤いドレスの女に誘惑され…死体に残る4-3の謎とは?」
収録!その原点を見たい人へ。





  • この記事を書いた人
藤次郎Tojiro

Tojiro

子どもの頃、家でジャンプが出禁になっても、『銀牙』や藤子作品だけは読み続けていた。あの頃の“物語の匂い”が、ぼくの根っこをつくっている。 うつとの長い旅を経て、“こころの余白”の大切さを知った。いまはドラマ『相棒』を中心に、気持ちの揺らぎや、語られない沈黙、痛みのレイヤーを、そっと読み解いている。原点の作品を行き来しながら、人が立ち上がっていく物語を、静かに追いかけています。

-相棒×杉下右京
-, , ,