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🕵️【相棒】杉下右京はHSPかもしれない──異色の名作「越境捜査」に見る、共感センサーの強さ

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🕵️【相棒】杉下右京はHSPかもしれない──異色の名作「越境捜査」に見る、共感センサーの強さ

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『相棒 Season24』が始まる。だけど今日のブログは、その記念として、あえて過去回──あの名作として名高い、Season7 第11話「越境捜査」を取り上げたい。

HSPとして、杉下右京に共鳴した夜──『越境捜査』を“心のセンサー”で読む

ぼくはこれまで、この回を10回以上見てきた。初めて見たとき、見終わった直後に、もう一度再生ボタンを押していた。

そこには、推理ドラマという枠を越えて、HSP(Highly Sensitive Person)としての自分が“感じてしまう世界”を、静かに肯定してくれる人がいたからだ。

それが、杉下右京という人物だ。

「細かいことが気になるのが、僕の悪いクセ」

事件は、町田から川崎へ。拳銃を発泡した男を追って、杉下右京は警視庁・組対五課とともに、神奈川県警と合同で捜査に乗り出す。住宅密集地。似たような家が並ぶなか、杉下右京の手がふと触れた一台の車のボンネット。

「熱い……?」

だがインターホンを押しても反応がない。その“わずかな違和感”が、やがて人質を救うきっかけになる。誰もがスルーするであろう“手触り”の違いに反応する──それはHSPの資質であり武器そのものだ。右京は、五感のセンサーが鋭い。 けれどそれだけではない。彼は、自分の“違和感”を疑わない。覚えている。確認する。行動する。 それが、彼の強さだ。

「こちらのお宅も先ほどは留守でしたね」──記憶の微差と確信

犯人逮捕後、捜査班は現場を引き上げる。 そのとき杉下右京は、ふとある家の“カーテンの揺れ”に目をとめる。

「こちらのお宅も先ほどは留守でしたね」

誰も覚えていない。それでも、杉下右京の“心の中の地図”には残っていた。通りすがりに見た家。閉まっていたカーテン。けれど今は揺れている。この小さな違和感が、やがて別の事件の発覚につながっていく。電話線の引き込み口に細工がされていることに気づいた彼は、鑑識米沢守に連絡し、専門的見解を得てから家へ。

結果、その家では誘拐事件が起きていた。

「このあたり」──言葉の端に滲む、真実

犯人は、立てこもり事件によって“予定外の3本目の電話”をかける羽目になった。その際、誘拐された娘(ありさちゃん)の父である藤堂氏に対して「この辺りで騒ぎが起きているだろう」と発言。だが、その電話は川崎にかけていたはずであり、犯人が本当に“みなとみらい”から電話していたのであれば、「その辺り」と言うのが自然なはずだ。あわてたときに、つい“本当のこと”を言ってしまう──杉下右京は、その口調の微細な違いから、犯人が実際には川崎に潜伏していると読み取っていた。

そういった細部から、真実を拾い上げていく。

違和感を“武器”に変えるとき

藤堂家では、ジャミング装置(電波妨害装置)が仕掛けられており、携帯電波が遮断されていたため、外部との通信は不可能な状況にあった。そこで杉下右京は、“紙幣番号を録画して記録する”という名目で、犯人に時間をかけさせる提案を持ちかける。想定外の事態に犯人は、通信妨害を一時的に解除──杉下右京はそのわずかな隙を突いて、あらかじめ、すさまじい速さでテンキーを打ち込んで作成しておいたメールを、先程まで共にしていた組対五課の角田課長宛てに送信した──。

誘拐事件が発生しているが、神奈川県警は認識していない。 人質は、先ほど洗い出した空き家に監禁されていると思われる。 間もなく身代金を積んだ車が出るので、尾行を頼む。静かな、しかし確実な反撃だった。

誰も傷つかない美しい手口の犯罪など、存在しない

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事件の後半、犯人・早川はこう語る。

「誰も傷つかない、美しい手口です。そこらの強盗犯や、傷害犯とは違います!」

それに対して、右京は震える声で反論する。

「いえ、あなたの間違いは物と人間の区別が付いていないことですよ。誰も傷つかない美しい手口の犯罪など、この世にはありません。藤堂さんご夫妻、そして何より幼いありさちゃんの心に一生消えない大きな傷をつけた罪は軽くはありませんよ。」

杉下右京は、推理をするだけの人ではない。“心”を見ている人だ。それが、彼がHSP的であると感じる最大の理由だった。

この日の主人公は、杉下右京ではない。

それは、誘拐された少女──ありさちゃんだ。年端もいかぬ年齢で、通学路という日常のなかから突然連れ去られた。その出来事は、彼女の心に深く、長く残る“傷”となるだろう。

事件の終盤、杉下右京は犯人にこう言い放った。

「幼いありさちゃんの心に一生消えない大きな傷をつけた罪は、軽くはありませんよ」

この言葉は、直接ありさちゃんに向けたものではなかった。けれど、誰かが自分の痛みを見つめ、言葉にしてくれたということ──
それは、彼女のこれからにとって、たしかな“救い”となり得る。

杉下右京の目は、ただ事件を解決するためではない。傷ついた誰かを、確かに見つめていた。物語のあとも、きっと──誰かのやさしい目が、手が、ありさちゃんに届いていると、信じたい。





📝 備考
本記事は、医療や心理の専門家によるものではなく、長年、HSP気質や心身の不調と向き合ってきたぼくが、当事者としての視点から綴ったものです。内容はあくまで「一つの体験」であり、診断・治療・投薬をすすめる意図はありません。不調や悩みを感じた際には、医師や専門家のサポートを受けてください。

それでも、同じような感覚や苦しさを抱える方が、どこかで「自分だけじゃない」と思えたり、ほんの少しでも、心がゆるむきっかけになれば──そんな願いを込めて書いています。

必要なところだけ、必要なタイミングで、どうか無理なくお読みください。





藤次郎Tojiro

藤次郎

 亀仙人のじっちゃんのお下劣シーンの描写から、母親から少年ジャンプ禁止令を言い渡され、 辛い少年時代を経るも後に解禁。ドラゴンボール、銀牙-流れ星銀-、スラムダンク、藤子・F・不二雄作品などに傾倒。 ファミコンブームの最中、禁止令にあらがえず、あえなく撃沈。  現在は『ドラゴンボール』シリーズ、『相棒』シリーズなどを心の支えに、日々ウェルビーイングな暮らしを模索中。 うつとの長い付き合いもあり、「心を整える力」の大切さを実感しながら、 漫画・アニメ・心理学を横断するブログを運営中。心の修業は、これからも続く。

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